【遊技通信12月号から】クローズアップ:1円急増の陰で放置される甘デジの環境整備

【遊技通信12月号から】クローズアップ:1円急増の陰で放置される甘デジの環境整備(更新日:2011/12/13)

今年一年で激減した「CRA」
甘デジの基準は曖昧なまま

パチンコ設置台数の約13%を占める甘デジ。1円パチンコの浸透と共にわずかに減少したものの、市場に大きな変化は見られない。ミドルやMAXが発表された後、タイムラグを置いて甘デジで再登場する販売スタイルも変わらない。しかし、この一年間で変化したことが一つだけある。CRの後に「A」が付いた「CRA」の機種が激減したことだ。東京都公安委員会の告示で見ると、2010年は「CRA」が付いた機種は計105機種に上るが、2011年は10月末までで19機種に留まっている。要因は日工組が「CRA」の基準を明確化し、2011年頭から適用したことにある。

内規の下限確率は変わらないにも関わらずMAXタイプの射幸性が上昇したことを受けて、「1/4規制」「1対1.3規制」が2011年頭から適用されたのは周知の通りだが、その際、同時に、2つの規制などを満たした実質確率1/100未満の機種のみに「CRA」を付ける申し合わせも行われた。その結果、スペックに変化がないにも関わらず「CRA」の機種が激減した。

この基準を一般的な甘デジの大当り確率1/99に当てはめるとした場合、メーカー側には「出玉なし確変を排除して『CRA』の条件を満たす甘デジを発表する」か、あるいは「出玉なし確変を搭載して『A』を付けないか」という2つの選択肢があったわけだが、多くの機種で後者を選択したことになる。

「A」が付くか付かないかという見た目だけの変化なのだが、微妙な問題を引き起こすのが業界団体で構成する「手軽に安く遊べるパチンコ・パチスロ運営委員会」による「遊パチマーク」の存在だ。現在は「CRA」の基準を満たす機種の盤面のみに「遊パチマーク」が掲げられているが、少なからずのホールが甘デジを設置した島を「遊パチコーナー」と銘打っている。そのなかに、業界側が認定した「遊パチ」とそうではない機種が混在していることになる。

甘デジで新規ファン獲得を試みる動きが活発化した2006年には、業界団体側が「5,000円で2時間以上遊べる」を手軽に安く遊べる遊技機の基準として挙げた。実態との矛盾をファンから指摘されていた問題は、そのままだ。その上、遊パチコーナーに大当り確率1/120や、極端な例ではライトミドルを設置するホールもあるなど、現在の甘デジ市場は細かい矛盾が積み重なったまま放置されている。背景にあるのは言うまでもなく1円パチンコの存在で、甘デジより安く遊べる以上、業界側がキャンペーンを展開する意味合いが薄くなったということなのだろう。

しかし、甘デジは1円が増加しながらも10%以上の設置シェアを維持しており、現状を放置するのは得策ではないはず。広告宣伝規制が強まるなかで、ある県では「遊べる」「甘デジ」「甘パチ」といった用語の使用がNGになる一方で「遊パチ」は許容されているという。「遊パチ」はあくまで名称であり、射幸心を著しくそそる文言ではないという判断だが、業界側が射幸性低下を進める動きのなかで決めた名称という要素も大きいだろう。そのなかで、「遊パチコーナー」には偽りがあることになる。

例えば、ダイコク電機のDK-SISデータでは、同じ甘デジでも『海物語』の時間粗利が700円を下回る一方で、「『海』以外」の時間粗利は1,000円を超える。『海』の甘デジは常に「A」の基準内なのに対して、『海』以外では基準外が多数を占める。「A」か否かだけで収益性が決まるわけではないが、盤面確率と実質確率の乖離を利用して利益率を高めていると指摘されてもおかしくはない。

「4円の復活がなければ業況回復は難しいが、高粗利営業を脱却しなければ結局は変わらない」という声が増えるなかで、あるコンサルタントは「甘い運用をファンが体感しやすいのが甘デジ。甘デジの運用改善が高粗利営業脱却の第一歩では」と指摘する。1円の陰に隠れている甘デジだが、4円への回帰を進めるためにも環境整備が求められる。

遊技通信

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